戦術

Football Managerの戦術には下位リーグでのみ通用するような戦術が一定数存在します。そんな戦術の中で、下位リーグであれば、非常に強い戦術を1つ紹介します。今回はイングランドの3部である、Sky bet League Oneのチームを率いた結果を示します。戦術のアイディアは2014年のWカップの男子メキシコ代表とNagelsman監督時のホッフェンハイムから得ています。

タッチダウンパス戦術

下位のリーグでは技術が拙くても、フィジカルの優位性で勝ち切ることができる傾向があります。今回は高さ、ジャンプ力の優位性を生かす戦術です。アメリカンフットボールのタッチダウンパスに類似していることからタッチダウンパス戦術と呼ばれています。タッチダウンパス戦術自体は以前footbalistaの記事で紹介されていて知り得ました。
2014年のWorld Cupのメキシコがこのタッチダウンパス戦術を行っています。この試合を使って戦術を解説します。ちなみにYoutubeで試合のフルマッチが見えます!!懐かしいです。

メキシコのフォーメーションは3-3-2-2です。3CBとDMの4人で菱形を形成し、後ろで安全にボール保持します。
その間に両WB、FW2枚、そしてIHの選手1枚の5人が相手の前線に飛び込みます。この画像の場面ではDCの選手が後方からセンターライン付近まで持ち運び、アメリカンフットボールのクォーターバックのようにして長いパスを前線に届けます。これだけの人数で前線を攻めることは相手にとっては非常に脅威であることは容易に想像できると思います。
アンバランスで歪なサッカーのようにも思えますが、前線に人数を割くことで、相手も守るために後ろに人数を割かざるおえなくなり、バランスが取れてしまうのです。メキシコには空中戦の的になれる長身の前線の選手はいなかったものの、戦術として機能していた。勝ち切ることはできなかったものの、オランダ相手にこの戦術のパターンから先制しました。

この戦術ができるのはメキシコのバックスにビルドアップ能力の高い選手が揃っているからこそです。ピボーテがCBの間の落ちるサリーダ・ラボルピアーナもメキシコ発祥であり、後ろから組み立てる技術、戦術的理解があってこそできる戦術ともいえます。


NagelsmanのHoffenheimの戦術については下の動画がわかりやすく解説しています。以下のような戦術です。
フォーメーション:3-3-2-2(変則的)
守備:ハイプレス
攻撃:長いボールによるレイオフ、攻撃時のフォーメーションは3-3-4、3-1-6
GK:優れたディストリビューター
CB:Kevin VogtはCMからCBにコンバート(クォーターバック役)
FW:ターゲットマン

メキシコの戦術をより現代的に洗練した戦術というイメージでしょうか。

Touchdown Pass Tactics in FM22

今回の戦術ではメキシコの前線5枚より、1枚多い、6人が前線を攻める、攻撃時に3-1-6の形になる戦術になっています。NagelsmanのHoffenheimの3-1-6の形に近い形です。前線2枚にジャンプ到達点の高い、ターゲットフォワードを2人置きます。この2枚がメインのロングパスの的役です。インサイドハーフはメッツァーラの攻撃2枚です。ウィングバックはCWBの攻撃2枚です。この6枚が前線を徹底的に攻めます。メッツァーラはハーフスペースを攻めることで、チームの前線での攻撃の中心になります。
後ろの3枚のCBとDMのディープライングプレイメーカーの4人でビルドアップを行います。後ろで安全にパス交換してビルドアップすることが求められるため、3枚のCBは足元の技術が平均以上あると好ましいです。Nagelsmanの戦術を参考に高いラインで、ハイプレスを行うよう設定したので、3CBの中央はカバーの役割にしました。
DLPにはロングパスをより使うように指示。
両脇のCBにはサイドに張るように指示。
中央のCBにはクォーターバック役としてロングパスをより使うよう指示。

ターゲットフォワードを2枚起用するため、空中戦に強いチームと考えられたため、セットプレイを取るように指示を追加しました。

Result

イングランドの3部である、Sky bet League Oneでシーズン前の予想で全体24チームの中で11位のAFC Wimbledonを選択しました。必要としている役割の選手が足りなかったので選手を獲得して挑みました。

クォーターバック役として獲得した選手。パス15、視野14で、Sky bet League Oneでは高水準の選手。プレイ特性にロングパスを狙うもあり、理想的な選手。

リーグ1位を独走という結果。カップ戦では上位リーグのチームにやはり勝てず、最低限の結果。

得点の多さ、失点の少なさともにトップという素晴らしい結果。
CKからの得点でトップに立つことに成功。
予想していませんでしたが、かなり高い位置でパス回しができていることがわかります。
空中戦はやはり強い。ヘディングの回数は平均的でしたが、勝率は高いという結果に。

パスマップから、意図した形で攻撃ができていたことがわかります。前線には左右に固まって3人ずつ配置されて、3-1-6の形になっています。左右から3人で密集を作りながらハーフスペースを攻める形になっていますね。

Discussion

予想していたよりも非常に強力な戦術でした。試しに上位のリーグでも通用するかいくつかのチームで試しましたが、結果はあまり芳しくなく、下位リーグでのみ通用する戦術だと判断しました。下位リーグでは、4人でのビルドアップを防ぐような高度なプレスをかけるチームは少なく、万が一、ビルドアップ時に失っても、ワンチャンスを決め切るような高い能力を持ったフォワードが少ない傾向にあることがそのような結果の原因かと思われます。下位リーグと上位リーグで効果の異なる戦術が存在するのは興味深いですね。上位リーグでも、工夫すれば効果的に働く可能性がある気もしているので様々なチームで試していきたいとは思っています。