今回はサッカーの中で特殊な立ち位置にあるセットプレーについてFM22で検証を行います。まずは、僕がこのテーマに取り組もうと思ったきっかけの動画を見てみましょう。

youtu.be

More than 30% of all the goals are being scored after set pieces

ゴールのうち30%以上がセットプレーからの流れで得点されます。

If 30% of all the goals are being scored after set pieces, how much percentage of our training time should we invest in set pieces??   -   30%!!(Audience)

ゴールのうち30%以上がセットプレーからの流れで得点されるのであれば、トレーニングの内の何%をセットプレーに割り当てればいいだろうか? ー 30%(オーディエンス)

ゴールの〇〇%がセットプレーからの流れならトレーニングにも〇〇%費やすべきという論理は間違いないと思いますが、FM22でもセットプレーからの流れの得点は30%をしめるのかという点は不確かだと感じました。Football Managerにこの理論を当てはめるうえで検証が必要だと考え、今回検証に至りました。


実際の今シーズンの5大リーグでのセットプレーからのゴールの割合

まずは現実のサッカーで今シーズンのゴールのうち、どの程度の割合がセットプレーから得点されているのでしょうか。Rangnickの主張の通り、3割なのかということを調べました。WhoScored.comの今シーズンの5大リーグのデータ(2021/12/9 時点)をもとにグラフを作成しました。全98チームで最低はManchester UnitedとAtalantaの0、最高はFreiburgの0.44でした。



また、リーグごとで、セットプレーからのゴールが全ゴールのうちに占める割合も算出したところ、以下のような結果でした。SerieAを除き、他4リーグは約2割のゴールがセットプレーからのゴールでした。(SereAも昨シーズン(20/21)は0.206でした)リーグによる大きな差はなく、ゴールの約2割はセットプレーから決められているようです。


では、近年の変化はどうでしょうか?Optaがデータを収集し始めた07/08シーズンからセットプレーからのゴール数は減少してきていることがわかります。

下位リーグではどうでしょうか?イングランドの1部から4部までの、21/22シーズンのここまでのセットプレーからのゴールが全ゴールのうちに占める割合を確認すると、多少下位のリーグの方が割合が大きい傾向があるといえるでしょうか。


ここまでの調査から、この時点で30%は少しオーバーな数字であるといえそうです。リーグやディビジョンで大きな差異はなく、20-25%のゴールがセットプレーから決められているようです。この時点で、最初の理論にわずかに数値の下方修正が必要なことがわかりました。


FM22でのセットプレーからのゴールの割合

続いて、Football Managerに移り、同様にして、全ゴール数に占める、セットプレーからの流れからの得点を調べます。FMにはCKからの得点・直接FKによる得点・間接FKによる得点があるので、これらを合計してセットプレーからのゴールとします。(スローインの流れからの得点もあるはずですが、調べるのが大変なので、今回は含めるのを諦めました。)異なる4つのEPLのセーブデータでの結果は以下の通りでした*。平均して0.16。


ちなみにセットプレーからのゴールの内、CKに限定すると、平均して0.093でした。

数値的には0.16と実際のサッカーでの数値の0.2-0.25と比較すると、低い結果が得られました僕の感覚的に、FM22でのCKからのゴールのカウントにCKからのこぼれ球が決まったような場合のゴールがカウントされていないと感じているので、多少上方修正する必要があると思います。他にもスローインからのゴールもカウントされていないため、約0.2の割合でFM22でもセットプレーからゴールが決まっていると推測されます。

まとめ

現実とFM22で試合における、セットプレーの重要性は同程度で、ゴールの20%程度がセットプレーの流れから決まり、それならばトレーニングの20%程度をセットプレーのために使うべきであろうという結果でした。
Twitterで以下のようなアンケートを取ったところ、27%の方はセットプレーのトレーニングをスケジュールに組み込んでおらず、残りの73%は1週間のうち1つか2つ(全体の5-10%)のセッションをスケジュールに組み込んでいるという結果でした。

今回の検証結果からいえることは、セットプレーのトレーニングセッションにもうすこし時間を割くのが適切であるということですね。目安としては20%をトレーニングに割くべきですね。

考察

セットプレーはサッカーの中で、ボールを止めてスタートするという点で特殊な立ち位置を占めています。ここ数年、現実ではトップクラブがセットプレー専門のコーチを雇用したりと、セットプレーが深く研究され、そのポテンシャルが大いに生かされるようになってきました。
一方、FMの界隈ではいまだにセットプレーに関しては、全体の戦術ほど研究がなされていないのではないかと思います。僕も全体の戦術は試行錯誤してきましたが、セットプレーの戦術についてはほとんどノータッチで、いつも同じ戦術を使っていました。
今回の検証で、セットプレーからの得点の全ゴールに占める割合は、現実とFM22でほとんど同じという結果で20%程度という結果が得られました。そのことはFM22でも現実と同じように、様々なバリエーションのセットプレーからのゴールがあり、様々なセットプレー戦術があるということの傍証なのかもしれません。
今回はトレーニングにフォーカスを置きましたが、戦術の研究も大きな可能性を秘めている気がしますね。


*  管理しているクラブの所属していないリーグのシミュレーションが正確に行われていないことがFM21以前で確認されており、今回FM22でもその傾向がありました。管理されていないリーグを5つ調べましたが、どのリーグでも、セットプレーからのゴールの割合は約0.1でした。