Part. 1の冒頭で今シーズンのBrightonでのDe Zerbiはまだ試合数が少なく、分析のカロリーが少ないとは言ったものの、逆に十分な分析には少なすぎたのでBrighton以前に指揮していたShakhtarとSassuoloの試合にも目を通すことになりました。試合数が少ないことに加え、De Zerbiの好む4-2-3-1での試合は5試合にも満たないため、Brightonの戦術分析を、現在と近い戦術を取っていたShakhtarとSassuoloでの試合分析からの考察を用いて補強することにしました。そこで軽い紹介にはなりますがShakhtarとSassuoloでの結果についてPart .2では紹介します。
過去指揮クラブ
監督としてのスタートはDaeio FoarioというSerie Dのイタリアのクラブでした。一歩づつステップアップし2017年についにSerie AのBeneventoの監督になり、その後Sassuoloの監督に就任し3シーズンを過ごします。そして、イタリアを離れ、ウクライナのShakhtarに移りました。
Sassuolo
De ZerbiはSassuoloで3シーズン過ごしました。順位としては、11位、11位、8位とそこそこの好成績を収めました。この期間に、守備の国イタリアでは少ない、ポゼッションを重視し、一方で守備が疎かになる傾向のある戦術スタイルからDe Zerbiは注目されるようになりました。ポゼッションベースの戦術で、対戦相手に関係なく、ボールを後ろから繋ぎ、相手をハイプレスに誘い、それを逆に利用して後ろに空いたスペースを利用する独特な戦術です。
De ZerbiはSassuoloに大きな変化をもたらしました。下の図のデータが示す通り、De Zerbiの就任1年目のSassuoloは、2017-2018シーズン以来の5大リーグの中で最もポゼッションが向上したクラブでした。そしてそれは、Potter就任1年目のBrightonのその変化を上回る変化でした。
(3番目のBologna2019-2020はSiniša Mihajlovićの1年目です。余談ですが、De Zerbiが好きになるエピソードを一つ。The Athleticsによるとロシアのウクライナ侵攻後、Shakhtarから離れフリーだったDe ZerbiにBolognaはMihajlovićの後任を依頼しましたが、De Zerbiはそのオファーを断ったそうです。というのもMihajlovićは2019年に白血病と診断され、2022シーズン開幕から5戦未勝利という結果で解任されました。De ZerbiはMihajlovićの友人として、5試合という進退の判断には短い期間での結果から解任したBolognaのオファーを断り、Mihajlovićが自ら辞任していれば依頼を受けていただろうが...と語ったそうです。De Zerbi戦術だけじゃなく、人としても尊敬できる方ですね👍)
Part.1で紹介したように、De Zerbiはより攻撃に重点を置く監督であり、2019-2020シーズンは69得点63失点・2020-2021シーズンは64得点56失点という結果で攻撃力はあるが守備も脆く失点も多いという傾向にあります。
De Zerbi指揮下でのSassuoloの戦術ついてはこちらの動画が非常にわかりやすいです。
主に使用したフォーメーションは1年目は4-3-3、2・3年目は4-2-3-1です。対戦相手に応じて先発メンバーが変わることはありますが、ポゼッション指向のサッカーを捨てるということはありませんでした。
WhoScored.comから引用
(最も出場数の多い選手がそれぞれのポジションに配置されている選手です)
Shakhtar
De Zerbiは3シーズンのSassuoloでの暮らしから離れ、ウクライナのShakhtarに就任しました。ウクライナ侵攻により412日でウクライナを離れることになったため、指揮した試合数は少なく30試合です。公式戦30試合中20勝・5分・5敗で勝率は2/3とかなりの好成績です。2021-2022シーズンではリーグ戦は18試合で15勝・2分・1敗で1位。Champions Leagueはプレイオフから戦い、伊藤純也が所属していたベルギーのKRC Genkに合計スコア4-2で勝利、現在では南野拓実が所属するMonacoに合計スコア3-2で勝利し、グループステージに進出しました。グループステージでは勝ち点2の4位と満足のいく結果は残せませんでした。
ShakhtarでもSassuoloの後ろの2シーズンと同様に4-2-3-1のフォーメーションを採用しています。
これでPart. 2は終わりです。次のPart. 3に続きます。
Part.3で戦術を分析し、Part.4でFM23の戦術に落とし込みます。